暗い森/
ふるる
豊かに実りある
秋へ
時の小道は必ず続いていて
光につま先も髪も染まるだろう
あの分岐点で待っていれば
やがて日は延びてゆくから
延びていってしまうから
あなたは忘れるだろう
この森のことも
「さむい、さむい」と
泣く鳥のことも
忘れられたとしても
それでいいのだ
この森はずっと昔から
喪服の切れ端のように暗い
少女をうろに抱く
樹木のわたしが
鳥を抱いてやれたらいいのだが
それは叶わない夢だ
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