暗い森/ふるる
 

豊かに実りある
秋へ

時の小道は必ず続いていて
光につま先も髪も染まるだろう

あの分岐点で待っていれば
やがて日は延びてゆくから
延びていってしまうから
あなたは忘れるだろう
この森のことも
「さむい、さむい」と
泣く鳥のことも

忘れられたとしても
それでいいのだ
この森はずっと昔から
喪服の切れ端のように暗い

少女をうろに抱く
樹木のわたしが
鳥を抱いてやれたらいいのだが


それは叶わない夢だ

戻る   Point(10)