春/
青色銀河団
わたしは
花さく野邊のなかで
じっと動かずにいる
一匹の蛙です
やわらかな風に
運ばれてゆく
たんぽぽの綿毛にぶらさがった
小さな種子は
わたしです
水の跳ねる音がする
草に覆われ
すでに
使われなくなって久しい
トンネルは
わたしです
役目を終え
西の空で
ただ白く小さく
輝いているだけの人工衛星は
わたしなのです
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