春/青色銀河団
 
わたしは
花さく野邊のなかで
じっと動かずにいる
一匹の蛙です


やわらかな風に
運ばれてゆく
たんぽぽの綿毛にぶらさがった
小さな種子は
わたしです


水の跳ねる音がする
草に覆われ
すでに
使われなくなって久しい
トンネルは
わたしです


役目を終え
西の空で
ただ白く小さく
輝いているだけの人工衛星は
わたしなのです

[グループ]
戻る   Point(2)