キミノコエ/千月 話子
今日 キミの夢を見た
もう居ないくせに
「いつも見てるよ」と言うのだ
薄曇の外光が窓から入り込んで来て
中途半端な空間を作るので
夢の端っこを掴んだまま手放そうとせず
意識が行ったり来たりしている
その続きが欲しいんだ
丸まった身体のまま身動き一つせず
手の平で大切な言葉を拾い集めて
胸の中に仕舞って眠る
自転車で通り過ぎる若い男の背中に
「行かないで・・」
という言葉が乗っていた
心なしか安定の悪い車体
まもなく転倒するのだろう
切なさと幸福が
私の両肩で水のように揺れている
今日は低い段差によくつまづくのだ
アンバランス
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