小詩集【かなしみ】/千波 一也
 
たい、という
こえはおなじですのに

そこここに
いきていたい、のに





四 かなしみ



よろこび、という
ことばそのものの
よろこびは
どこにある

ただしさ、という
ことばそのものの
ただしさは
どこにある

どうして、という
といかけそのものの
どうして、は
どこにある

おかえり、という
よびかけそのものの
おかえり、は
どこにある


それなりに
じゆうなわたしは
おなじくらいのちからで
とじられようとして
いる


かなしみ、という
ことばそのものの
かなしみは
どこにある

かなし
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