自由意志と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる7/もぐもぐ
 
う問題は、この「第一原因」が一体「誰」なのかということを問い直すことと重なっている。

別の言い方をすれば、これは「自由意志」についての再検討である(「私たちの企ては<自由というもの>の彼方に至ろうとする企てである」(p33))。普通私たちは、自分に自由な意志があり、自分が何をしたいか、これから何をするのか、自分の自由な意思で決定できると考えている(或いは少なくとも、そういう見方を前提とすることをしばしば要求される)。これは、人間(個人)を、宇宙を、世界を、人間の行動を動かしていく、「第一原因」と捉える見方である。所謂「合理的主体」はこのような人間観を前提にしている。理性的に考えて、そこから割
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