静寂と沈黙と銃声と…/桜 葉一
昨日の夕食はなんだったか?って
急に聞かれたってすぐには答えられない
誰だってそうだよな?
暗闇に2人の吐息だけが木霊していた
静寂 あまりにも静寂
緊張 手の平に汗が滲む
昨日の夕食はなんだったか?
閉ざされた闇に2つの影が交差した
沈黙 あまりにも沈黙
鼓動 息が速くなる
昨日の夕食はなんだったか?
黒くいびつに光るそれは
僕の額を目指し その時を待つ
昨日の夕食はなんだったか?
額から流れ落ちる汗
頬を伝い落ちる
昨日の夕食はなんだったか?
それが合図のように
目の前の影が持つ拳銃は火を吹く
――バン
その瞬間
鮮やかに昨日の夕食風景が浮かび上がった
あっ筑前煮だ
暗闇の静寂には銃声と1人の吐息だけが取り残された
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