みどり来るみどり/木立 悟
変わらず
継ぎめの色をこぼしている
文字より速く 指より速く
意思より速く言葉になるもの
おのれより遅い響きを受け入れる
誰かからわたされた波を
足元へ足元へこぼしている
手のひらなのか羽なのか分からずに歩み
はざまをすぎる風と息を知る
指は目を見ず
目は指を見ず
息はひととき 命ではなく
弦はじくもの どこまでも
神の幼さに泣いている
謎や罠や
罰のように
皆そこにあり 空を映し
光や日々や
双子のように
唱いながらすぎてゆく
みどり倒れ
みどり流れる
昇り降りるものから分かれ
ただ地中を飛ぶものとなり
土に横たわる蜜のからだの
もうひとつの鼓動となってゆく
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