みどり来るみどり/木立 悟
何かが落ち 水煙がたつ
鳥が空に背を向けている
滴がどこかへ着くまでの
光のふるまいを見つめている
夜が海辺の岩をつかむ
幾度も幾度も つかんでは離す
道のまたたき 道のさまよい
音は太く あたたかくなる
はじまりの前に終わりがあり
そこからすべてがはじまってゆく
ひとつの星座もありえないほど
密にふくらむ星の群れ
はざまはわずか
光見ぬ音
わたしはわたしをひらいていいか
わたしをわたしに招いていいか
夕暮れは山の上からいつまでも去らず
水の音ばかり打ち寄せている
どこへ流れ しがみついても
空をふちどる空は変わ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)