幻覚の蛙/ホロウ・シカエルボク
 
して着地地点を定めるみたいにしばらくそこでじっとしていた
あ、そうそう
飛び降りんとする瞬間、急にこちらに向き直りこう言った
「君にとってはそれがシンプルであるということなんだよ、複雑化し、難解になることが」
じゃあ、と言って蛙はいずこかへ消えた、今俺の頭を支配しているのは少し別のことだった―幻覚の蛙がどうして蛇の目などを怖がらなくてはならないのだ?―シバラレタキオクハカラダヲジユウニハシナイヨ、とやつの声がこだました、俺はため息をついて読みかけの本に戻った


あいつも弱者なのだ、先天的に、本能に植えつけられた―




つまり、俺と同じさ



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