雨/高橋魚
 
長旅を控え

憂鬱そうな面持ちで空から降り注ぐ雨は

通り過ぎるたびに僕を睨む

僕は引き出された罪の意識に連れられて
目を瞑りタイムスリップ


産まれし宮処に似た感覚
周りには何匹もの魚
上を見れば青を照らす太陽の声

ああ 此処はかつて海だったんだ


目を開くと

雨は アスファルトに小さな海を作っていた


僕は今 アスファルトの上に立っている

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