夜のナイフ/ブライアン
菓子を手にしたまま、彼を見つめる。観客だった。冬の夜は彼と彼女のためにあった。冷気が部屋に入る。細かい雪も舞い込んできた。無言ではなかった。何かしらの言葉をかけたり、手を叩いて囃し立てたりしていたに違いない。彼女は彼をなだめていたのだろうか。彼は更に語気を強めた。まじだって、と。彼はどこからかナイフを見つける。冷たいナイフだった。躊躇いがちに彼と彼女の周囲を囲む。お前のためなら死ねるって、と彼は言った。更にもう一度。冷たいナイフは彼の手首に添えられる。お前のためなら死ねる、と。彼女は笑っていた。ビールを口もとに運ぶ。死ななくて良いよ、と。皆、笑うほかなかった。彼の体からナイフを奪う。いや、奪うこと
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