愛/木屋 亞万
河原にたくさんの愛が落ちている
否、河原には愛しか落ちていない
そのうち(どれを選んでも良いのだが)の
一際尖ったものを拾いあげ
膝の上、ふとももの天井をスッと裂く
裂こうとする、血が垂れるのを期待して
しかし、皮膚には白い粉を吹いた筋ができ
赤く腫れて痛いだけだった
私はその愛を川に投げた
数回ほど水を切った後、消えた
もう会うこともない
今度は丸い愛を拾う
すべすべの表面は冷たく
思わず頬擦りしたくなるほどだ
日々大切に持ち歩いていたが
その愛はいつも冷たい
私以上に温かくなることがない
金銭的価値はおろか社会的価値もない
腹が膨れる訳でもない
私
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