日没 /鯨 勇魚
 
日没


『境界』
春の砂浜にも眠気がありました
くるぶしあたりを行き来します
つめたいって声がよく笑いすぎる
何度だって挨拶を交わしながら
波打ちたくなる感覚に
初めて足の親指を口に含まれ
不意に悶えてしまう流れのようです



『声』
睫毛も疲れて滲むのでしょう
童顔した人の名前にもたれ掛かり 
乳首に爪を立てられたあとの
優しさで感じる事という曖昧は力無く 
聞こえないふりをしていたら
たもっていけるものか
大丈夫なはずがない
とにかくあれだ
大丈夫なはずがないんだったら



『連結』
そっとしておいて欲しいと
車窓の向こうを見
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