都市型仙人/HTNYSHR
 
その中年男性は、まだ少し油っぽさを残した額を光らせながら
街の暗く入り組んだ路地の突き当たりの二階に居た
秘密に仕立てられた魅惑的な部屋
彼は都市型仙人と呼ばれていることを知らない
迷路は迷いだして始まるから、そこに入り口は無く
出口をくぐった気分だけが迷路を思い出させる
その存在が常に疑われるのは、生きる感覚への懐疑に似ている
出口だけがその存在を僅かに仄めかすだけ
彼は多言を費やし仄めかす

さて、仙人の発見は或るロマンの発見を可能にした
それは醒めない夢の中で場面転換が突然起こるような
明日の朝には視力が失われていると云った類の妄想
曰く「コンクリートの間に咲く黄色
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