妄想家の仮面/HTNYSHR
静かで力強く穏やかな景色を前にして
この仮面を脱いで惚けている
間違わないように、崩れ落ちてしまわぬようにと
危ぶまれる時々に
薄い木叢に透かして見える文明の雑音と
止まない川音とのあわいに浮かべた妄想は
人工芝でふて腐れる子供の頭の中を見ているような
倉庫と化した旧校舎の教室の隅に
積み上げられた机の下に潜り込んで
独り善がりな罪の意識に囚われている
少年の心音を聞いているような
超絶への飽きぬ希求をすることと
異次元的瞬間とが相まったお可笑しみを纏いこんだ
不思議と懐かしい物語を誘う
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