降り来る言葉 XXXIX/木立 悟
つづける洞
霧と水の
接する空
紙と鉛を
失くした冬
いつまでも
色のない煙に導かれていた
月はいつも
未分化のまま
何も持たないものの名を
伝えはじめた
夜は夜を虹にめくり
肉を肉として見つめひらく
空の発芽
空の亀裂
ふちの色をまだ
定められずに
明らかに手に余る満ち欠けを
誰の手にも託すことなく
夜の窓はまぶたにあふれ
ふるえしたたり
ふるえしたたる
影がかわき
土に焼きつき 道になる
枝の上の声 忘れられるまま
葉を進む虫
雨を呼ぶ符
くちびるにくちびるに
ひもとかれるまま
皮膚のはざまに稲妻はあつまり
はじかれながら在りながら
激しく河口をかきまぜている
蝋を引きずる足首で
砂を歩むものたちの
背の鏡へと降るみどり
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