雨/松本 涼
 
知らないうちに
窓の外が雨になっていて

そして知らないうちに
雨は止んでいて

私は変わらず
想っている


雨が生まれる
辺りのことを

そこに住んでいるであろう
人たちのことを

美しく濡れながら
雨を見上げる
草木のことを

私の奥にいる
私のことを


浮かんでは消えていく
雫のような
イノチの音を
想っている

戻る   Point(1)