青焼け/HTNYSHR
夕焼けの上に乗っかった
深く透きとおった青色の空が悲しく見えたのは
その色の暗示する闇の到来によるものであったか
空が闇に染まっていく瞬間が悲しいように思えたのは
闇が悲しさを喚起するからではなく
その瞬間が美しく思えたからではなかったか
美しさを悲しいと思い
その一瞬の感情の動きを言葉にすることの
困難の程に切なさを思い、悲しさを増す
言葉が完全であったなら
何も悲しいとは思うまい
切ないとも思うまい
景色はいつも凛としているのに
言葉はいつも哀しげだ
景色の表情の多彩さに比べあまりにも少なすぎる言葉
今日も夕焼けが沈黙を強いている
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