小石の向こう/
高橋魚
故郷の町を
その匂いを味わいながら歩いていると
偶々爪先に小石がぶつかった
僕はそれを拾い上げた
すると何故か
夕陽を見ているときのような
対象の解らないノスタルジアが僕を包んだ
小石を見つめていると
故人の 生きた想いが詰まっているようで
名の解らない僕の感情が
涙を媒体にして
小石に伝わる
小石には
新たな想いが染み込んでいく
また誰かが拾い上げ 想いを知るまで
蹴られたり投げられたり
流されたりしながら
小石は転がっていく
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