月の光/xxxxxxxxx
の奏でる音にのせて
ふいに、
海の中にいる記憶が
呼び起こされて
重力を喪くしたわたしは
不安と
自由と
悔恨と
安らぎの
檻の中で
優しくも残酷で
温かく、切ない音が
臍の緒のように。
わたしの中に、繋がっていた
わたしは
彼女を
殺さなくてはならない
【月の光・最終夜】
月は 満ちようとしていた
項垂れた百合が
咲き乱れる庭で
一際暗く輝く白は
首を傾げるようにして
今宵も「月の光」を奏でる
その手
その指先
その横顔。
彼女は耳がきこえない
口をきくことができない
百合の溜め息と
銀の月と
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