景色/HTNYSHR
景色よ、さようなら
君はいつも僕の心だった
景色は、送電線に絡みつく風
海の上にある匂い
君は特別に美しいわけじゃあないし
劇的な魅力があるわけでもない
ただ気安さと、気長な優しさとが
僕の心になった
川の向こう、遠くの山
海の彼方、空の下
僕を引きつける異郷からの匂い
足元に埋もれたきれいな貝殻
水と時間
空の色
ほころびた袖口
風の音
暮れてゆく日もあと少し
まぶたの裏に消えた景色よ
君の声と僕の声とはあまりにも似ていて
僕はいつも君との境界線に迷うよ
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