受胎告知/ホロウ・シカエルボク
は畏怖と感謝をとめどなく繰り返す、ひとつも漏らさずに、ひとつも余すところなく
最後の一点を求めているのではない、俺が言葉を綴るのはたった一瞬の為の作業、鋭利な刃物を刺しこんでくり抜くように記憶を記録する、どんな種類の記憶でも構わない、でっち上げでも、リアルなものでも、どうせ現実感など薄れてゆくものだ、現実など初めから便宜的なものに過ぎないのだから、刻みつけられたものはこうして吹き上げられるのさ、出来る限り早く、出来る限り多く、確かに捕らえられるように、晴れた空のもと降り注ぐスコールのように、受け止めてくれ、これは俺自身の最も確かな記録だ、偽りはしない、感情を、思考を介さないものには偽る余地など
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