受胎告知/ホロウ・シカエルボク
分裂を繰り返し損ねて畸形でくたばりかけた細胞がどうしようもない呪詛を吐きながら加重する真夜中の少し前、廊下に落とした昨日の、未消化のフレーズたち、ぶくぶくと粘度の高い泡を吐き出しながら整理出来なかった俺のことを静かに眺めている、俺のそばにある100万の火薬庫、俺の中にある100万の欺瞞、顎の力で噛み砕いたら口腔に酷い傷が出来た、読むたびに膿の味がする、救われはしない、救われはしないぞ、内側から、周囲からしがみつく亡者ども、指先が伸びてくるたびに全身を腐臭が走る
髪の毛のように刻まれたガラス窓の細いヒビ、あの裂け目から何かが見える、すぐにそんな寓話を信じてしまうのは報われ
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