こがねうた/木立 悟
 
軋る風 軋る雲
擦れあう度に欠けつづけ
青へ青へ散りつづけ
けだものはかけらの空を震わせる



子はじっと聴いていた
流れ込むすべてを聴いていた
傷のかたちと
震えのかたちの群れのなかに
見えないものが
さらに見えなくなるほどかがやきながら
空の空の空を貫き
けだものの叫びがはじけたとき
長いあいだ忘れていた目に
金の響きが打ち寄せていた




扉ひらくとき
窓あけ放つとき
小さく背中に腕まわす仕草で
たとえ誰にもとどかなくとも
新たに生まれる響きにむかい
子はふたたび歌いはじめる
光のかたちを歌いはじめる







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