人力の金剛石/海里
童話の中で二人の少年は
ぎこちない羽ばたきのハチドリに案内され
草木
木の実
花、葉、土
すべて宝石からなる光の丘を訪れます
けれど
どの宝玉の輝きよりも輝かだったのは
十力の金剛石
ダイヤモンドなどではなくただの天露
全ての生き物の命を養う
ただの雨の雫だったのでした
そして今
私たちは人力の金剛石を探しています
御仏に賜った宝珠でも
仏陀の尊い舎利でもなく
一人一人の力がひと一人分にも足りない世界で
詩を糧にして
梃子にして
ハチドリにして尚
ひとが互いに差し出し得る人力の金剛石を
ひとがひとから
ひと以外へとも差し出しえる金剛石を
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