絵空事/HTNYSHR
 
血ガ循ルコノ躰躯ハ只ノ物質ニ過ギナイ
ヤット秋ラシイ夕空ガ西ノ山ニ向カッテイルノヲ見ナガラソンナ気ガシタノモ
今トナッテハ嘘ノ中ニ溺レタ蜻蛉ノ羽音ノ様ニ微カナ記憶ノ残滓トナッテイル

今や景色は黄昏れて、群青色の闇に部屋の中が染まろうとしている
ベランダに干されたままの洗濯物が冷たそうにしている
この感覚が絶対的に孤独なんだと、この闇迫るひとときのうつろいが囁いている
しかし虫の音色は孤独な耳に染みてくるものだ

頭ノ中ガイッパイデ吐キ出ス術モナイノダカラ
麻痺シテシマウノガ手ッ取リ早イ過ゴシ方ナノダロウ
只過ギ行ク中ニ居ルダケデ世界ハコウモ美シイノダカラ
永遠ノ世界ハドン
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