私の言葉は公共物である/キリギリ
人間観察が大好きなあなた方なら風呂上がりに1度は
鏡に映る自らの裸体をその標的とし、弛んだ二の腕から諦めの早さを、
薄気味悪い作り笑顔から社交性の無さを見出し
遣る瀬なさを抱えながら決心を先延ばしにしたことがあるだろう。
私もそうだ。誰だって心の中に嫌いな部分、治そうにも治らない悪癖を
持っている。そして私にとってのそれが私にこの文章を書かせている。
題名にあるように私の言葉は公共物である。
そして同時に、私の言葉は幾重ものヒヤリ・ハットの果てに
あなたの眼前に現われた事故でもある。車の往来は交通であり、
ぶつかると交通事故である。ご愁傷様としか言いようがない。
ある日
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