幻影の人(五)/信天翁
 
        ころがっている
   見なれたプロムナードには
  錆びかけた鉄製の立て看板が
    見あきたアベニューには
   朽ちかけた木製のベンチが

   あなたはゆかねばならない
 ときいろに満ちたユートピアへ
   わたしは帰らねばならない
 暮色につつまれたターミナルへ

      あゝ 真昼の喧噪と
 真夜中の黙示が交錯するなかで
  もがりぶえだけがせきたてる
ひからびたトルソのシルエットを
  透きとおった四次元にむけて

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