降り来る言葉 XXXVIII/木立 悟
 
音のなか
昇る羽音
景まぜる音
石つたう音
景のなかの
音まわす音


手をのばし
何も触れぬまま
指ひらき ふと
髪を知る
闇のなか
どちらがどちらへ近づいたのか
わからぬままに
熱をむさぼる


足音の窓
足音の路
夜から夜へ
せり上がる金
門のかたちに削られた岩
灯に背を向けてかがやいている
森の上で
森になる空
いのちこぼす
いのち こぼれる


指に触れては
指になる指
まばたきの跡 静かに残り
夜の額にまばゆく重なり
足音に触れ 足音になり
夜の通りにまたたいてゆく


















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