「 未視感。 」/
PULL.
口をただ開きこの舌からことばが剥がれてしまえばそれでいい。
縫い付けてしまったまぶたの奥でさえ眼球は既視感に溺れ。
うなぎが点滴を溯るそろそろですねと看護婦がうなずく。
鍵穴から眼を出して失くした耳を探してるおれはかたつむり。
庭に生えた足の裏くすぐりとおくアルゼンチンの笑い声を聴く。
了。
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