すかんぴん(大変貧しく、無一文で身に何もないさま)/吉田ぐんじょう
 

消費者金融の無人審査機の前で
背筋をこころもち曲げている女
どういう顔をしていたらいいか
分からないのだろう
真っ二つに分けた前髪の間からは
かきまぜたコーヒーに入れたミルク
みたいな渦巻き状の肌色が見える
それが顔である
首をかしげている
どうしてこんなところにいるのか
自問するようなポーズである
不思議に明るい部屋の中には
多重債務者にならないための
チェックリストが置いてあって
何の音もしない
あの世とこの世の境目のようだ

やがてお金が出てくると
女はぱっと明るい顔になった
玩具を与えられた子供のようである

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