蒸発/黒川排除 (oldsoup)
 
 雨、そして雨。雨だ雨が降っている。鋪装された道が熱い。その上に降っているのだ。雨だ。こんなにも暗い。その上を彩っているのだ。螺旋に彩るそれを湯気と呼ぶ。湯気、湯気、こっちにおいで。来ない。来るわけが無い。いわゆる反抗期というやつだ。そうだ今まさに、今まさに雨水はアスファルトに反抗している。あるいは道路が拒否している。水に鋪装されることを。それでじゅうじゅう音まで立てている。永遠のサイクルは輪廻を思わせる。仏教だ。宣教の憂き目に上げた悲鳴は、今はっきりと耳に届いているぞ。やがて雨雲は散る。ざ、ざ、ざ。太陽だ。直視出来ない。あれが仏か。後光がすべてを救済するのだ。だが燃え上がった水滴はどこへ行ったのか。どこへ。これは、輪廻が元の場所に落ち着かぬことを言っているのか。では誰に。誰、そして誰。誰だ誰が降っている。
 そして女はいなくなった。
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