花束/霜天
点と点を結んでも
直線にならない
揺らいだ線を描き続ける人がいた
好きだった、らしい
景色は額縁に飾られ
憶測は掠めるように
いつまでも引き摺って仕方がない
会議は思い出についての議論になり
もう数日が過ぎているらしい
存在が薄くなり始めた密室から抜け出して
体ひとつでどこまで行けるのか
どこへ辿り着いても私という外枠は変わらないのに
変革のための計算式を組み立ててしまう
いつか渡しそびれた花束は
枯れ果てたままで
花瓶の中に今も、存在する
花弁には枯れても色は残るもので
額縁の中の揺らぎよりも
よほど遠くて
夢に近い
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