連作『人のいる風景』/角田寿星
 
一回転するたび 駅前の花時計は
死にゆく一片を迎え続ける


 都市

都市よ お前は
白いロッキングチェアに顔をうずめて
遠い昔をおもい続けよ

河がお前を抱くようにして流れず


 波

海底(スリッド)の匣から生まれた
波はただ一途に岸へ進む
ペルセウスがアンドロメダーを救った
時に岩場に打ち寄せた
波もまた一途に進む
同じように
ちがうように
うねりながら


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