斜路/木屋 亞万
 
いいからね
僕は声が出せなかったので大きく頷いた

恐竜さん達は一通りあいつを脅かし終えると
花坂斜路の土の中へ戻っていった
君が大人になったらオイラを掘り返してちょ
と言われた気がした
僕はやはり大きく頷いた

次の日からあいつは借りてきた猫のように大人しくなった
また調子に乗ってあいつが馬鹿になったら
その時は僕が止めてやる
おばあさんを悲しませない、むしろ喜ばせる
それが花坂斜路の番人と僕が交わした約束だから

今日もおはようございますとおばあさんに挨拶をする
おばあさんはいつも僕の表情をじっと観察したあと
少し微笑むようにして
おはよう、今日も学校がんばってちょ
と僕に言ってくれるのだ
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