色の無い血溜まり/ホロウ・シカエルボク
 
スの糞のように頬をかすめて
朝までには
無意味な気体になる

ワルツのような鼓動
指揮者のタクトの先端が鋭過ぎて
プレイヤー達が微細な傷を受ける、致命傷ではないのに
ひとり残らずなにかを奪われてしまう、夜に降り積もる色の無い雪、それを理由と名付けた、果てしなく刻まれるひび、裂け目のおぞましさに気付くのはきっとあと何度か
渇いた夜が肌を撫でてからさ
血だって言ってよ
血が流れているって
俺にはそれを見つめることは出来ない
近づけば近づくほど
欺かれたような気になる
眠れない暗闇に潜むものは
きっと俺の致命的な配列に更なる配色をもうける

路面には水溜まり
タイヤが通過するたびに
まるで





悲鳴みたいに
弾けては静まる



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