稲穂/こしごえ
遠い空の胸のうちには
一本の糸杉が、しん と立っている。
青く晴れた(夜ふけの雨後の)
明けすぎた真ひるの素顔。
さやかに風光りほほえみ
零しながら宙のゆびさす。
糸杉は、無風にないでさえぎるもののない
天をつらぬこうと根をはり深めていくますます。
胸は、一瞬きりりっ、とふるえた、(遠い空、
で。真っ青な神経を伝わる煉獄の焼失
(無とはいえぬ。
暗黒物質よりも
真っ暗い深海だった重さを
照らす時のそう
遠くない宇宙的無表情
暗暗としてぬれる遺香の灰にそまる種の果実は、
映らないいおの鎖骨だ 決して
(、、、、、、、
私は、 ではないしか
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