「お隣さん」/菊尾
 
貸してもらえませんか?」
「ああーいいよいいよ!」

そんな事だろうなと思ってはいた。冷蔵庫を開けてマヨネーズを取り出す。
はい、どうぞ。と手渡すと彼はすみませんと苦笑いを浮かべて頭を下げた。
「それじゃすぐ返しますんで。・・・あ、知ってます?新しい人来るみたいですね?ここ」
全く知らない。というか学校生活を営んでいるわけじゃないのだからいちいちそんな情報は入ってこない。
「いや全然。よく知ってたねそんなこと。」
「えぇ、管理人が話していたのを立ち聞きしたんです。来るみたいですよ。二組。一組はカップルでもう片方は若い男性のようです。」
カップルか・・・弱ったなぁ。
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