裁判所へ行こうよ?/猫のひたい撫でるたま子
たわけではないんですね?証言者ははっきり答えてください。」
「ハイ、痴漢をする度胸があるようには見えませんでした!」
「でも、女性車両だったんですよね?おかしいとは思いませんでしたか?」
「ハイ、女性車両とか男性車両とかは意識して乗っていなかったもので。」
「異論!証言者は覚醒していません。」
「ハイ?私は朝からお酒は飲みませんけど?」
「トントン、証言者は下がってよし。」
わたしの意見が反映されたのか、審議を見にやってきたものの、専門用語ばかりで聴き取れない。聴講席横の法廷画家は、被害者女性のスカートからはみ出したおみ足を丹念に描いている。
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