裁判所へ行こうよ?/猫のひたい撫でるたま子
わたしは見習い弁護士、に扮した三鷹の焼き鳥屋の店員。借り物のスーツに100円ショップのピンバッチをつける。
今日はある裁判の判決を見にやってきた。
被告人は、36歳中国人男性。痴漢容疑をかけられている。わたしは同じ車両に乗り合わせていたため、前回の反対尋問で証言をした。
「私は本を読んでいたのでよく見ていませんでしたが、被告は両手に荷物を持っていたので痴漢はしていないと思います。ハイ、多分。」
「本を読んでいたのに、荷物を持っていたのがどうして分かるのですか?」
「ハイ、乗り込むときに荷物がぶつかったのでその時に見たと思います。」
「では車内で見たわ
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