光速の美夏/石田 圭太
 
やってくる
世界はもう
ずっと不思議なままで
お前は今
その世界よりも深く眠っている
夢の中で生かされている
風の期待だけが
昨日使ったさよならを、
初めてのように(やまびこのように
見送りながら
(とりのこされて
(どこにも、


聞いたこともない山々や
見たこともない街並みを
ゆく


(どこまでも、
突き抜けて、心臓を
ゆく


光の香りだけがする





※2010年加筆
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