光速の美夏/石田 圭太
はねを生やして飛び立とうとするのは
なにも言葉だけじゃない
重すぎる心臓を
あかく吐き出しながら
お前のことを絵にするのは
いいかげんにしなくちゃね
お前はそう、
ひっそりとやさしいに近付く
それは誰もきづかないうちに
草の根が育つような
ほんの小さな出来事として
もう、
すっかり目は潤んでいて
お前はひっそりとやさしいに近付く
ふるくから息づいていた
お前のなかの
柔らかい種は
+
てんくうをみろよ
一億のちいさな
ちいさなほしが
俺達に向かって降りてくる
あれは、
死ぬまえに在った
生きるまえに在った
答えのまえに在
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