『図書室』/東雲 李葉
月の石を見つけたいならウサギに付いていけばいい。
もしも猫が見ているならそれは僕を観察している。
無いよりあれば良いもの。きっと沢山あるけれど、
あっても使ってないならば埃をかぶって虫が喰う。
勿体ないから広げたいと思うんだ。
色とりどりの舞台の中に鞄も持たず出かけよう。
頁を齧るのではなくて文字や文を味わいたい。
光のように月日を追い越し誰かの生を駈けてゆく。
僕もいつか誰かにそうしてもらえるように、
今日という日を物語に。例え何も起こらなくても、
文字を感じる喜びを誰かに伝えられるように。
月の石を見つけたいならウサギに付いていけばいい。
僕のことが知りたいならいつでもここに来るといい。
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