ワゴンセールの楽譜/《81》柴田望
かかる船便でダンボールいっぱいの紙幣届いても日本ではすぐなくなる 尊厳って何だ? ニュー北海ホテルの制服似合っていた 地下へ続く社員玄関あいつが待ち伏せした夜 甘やかされた日本人のガキなんてちょっと脅せばどうにかなると思っていた郷愁ストーカーの反日感情に 単なる猟奇的殺意でつかみかかり取っ組み合いになった がりがりに痩せたあいつの牛乳瓶みたいなメガネ落ちて 旭川はひっくり返り見てみぬふりしてこそこそ逃げる 誇りなき軍都よ 標的は同じだった習慣の戦友 折り曲げた携帯電話を取り上げ 何度だってかけてやるぞおまえの家族にいいふらすぞ会社にもつきまとうぞ するとぼくらの暮らしを制圧したヒトラーみたいな権力
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