ワゴンセールの楽譜/《８１》柴田望
行った休日 きみに目をつけているしつこい中年男に買わせたワイン空けて きみが酔いつぶれた満月の夜 あんたの頬っぺたの肉が周润发に似てるから好きだ、ときみが言った そして孤独な中国人の元彼氏は無人島漂流している 高価な遺品そこらじゅう一〇〇円ショップの料理バサミで切り裂く空き巣だ 日本経済のせいで発狂させられた鬱に魘されドメスティック・ヴァイオレンスが習癖化したのは自業自得だ この部屋に突然現れベランダ割れるまで絶望的に叩いた夜 大家さんが通報した警官は形骸化されたわが国の法だけを護る トイレで吐いてもきみのやむを得ずは脳を鳴り止まず 満州事変のときも三国同盟のときもわが
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