いなくなった/霜天
 

少しずつ、見通せるようになっている



可能性として
つかめるものなのだろうか
身動きの取れないドアから開放されて
深く吸い込んだ空気の透明さ
帰ろうとすると、押し出されて、落ちてしまうような世界で
おかえりなさい、あなたたち、と
繋げられるものなのだろうか
雨に打たれ走り出すと
景色とさえも混ざり合ってしまう
いつも誰かと一緒にいたはずなのに



繋げられるものなのだろうか
沈黙して笑う
程度のことで



いなくなった
その時までは
となりにいた
離れなかった
混ざり合ってしまえば少しは
分かり続けることが出来るだろうから


そういえばもう
冬が近い
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