声/草野春心
 


  声 声 声……
  うすっぺらの白に
  ぶちまけられた
  バケツ億杯分の、
  血 血 血……



  鑑定不能……
  声……


   *


  是と非が組み合って
  織りなす光の中に
  生れた僕らの暗さは、
  流産した魂。
  仮説。


   *


  (やめにしないか?)



  (もう、やめにしないか……)


   *


  漂白な命が、
  漂白している
  街に虹を描けたら……
  あの黒さえも、入れて。



  切り開いた眼で、
  見れば、見れる。
  真昼の人たちも、
  ほら、光っている。
  赤、青、黄色、
  白。



  見れば、見れる。


   *


  「糞みたいな人間と、
   人間みたいな糞は、
   同じではないのだから、
   歩こう。
   人の生きる場所へ」


   *


  そう!
  人の生きる場所へ。





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