冬の華/餅月兎
 
コートの襟を合わせ 冷たい風の中
細い背中が 小さくなってゆく

あの歳まで 独りきり
もてない女じゃ ないのだが
どうして独りで いるのかと
問う男はいなかったのか

俯き加減の その人は
知らないのだろう あなたの事を

冬の華 唯 一輪

何の因果か 気付いてしまった
知っているつもりです あなたよりも

挨拶だけの 細い細い糸
手繰る手立ては ないものか

今日こそ声を 掛けようと決めたのに
見送ってしまった 少女の面影残る横顔

ぐらぐらする足下誤魔化す お道化た仕草で
結局今日も あなたの前で
自意識過剰の幼児 身を硬くして

これを駄々と 謂うのでしょうか
冷たい風が 運んできます
二度目の冬 越後の冬に
あなたを守る 盾になりたくて
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