秋さり来れば・・・/朱雀
 
旻天に ひらり翔らう紅シジミ

野駆けの誘いと 辺りで戯(そば)え

彼方に渡る鶸色(ひわいろ)の海


吹き頻(し)く風に胡盧を浚われ

風来坊の桐の一葉(ひとは)が

カサリ コソリと撫ぜ行く つま先


黄金(こがね)の光が引く影に

強張るこの身を弛ませて

漫(すず)ろに描く明日の明日


暢楽夢譚の栞がわりに

胸に挟かう早生(わせ)の秋
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