うつしみ/たりぽん(大理 奔)
蝉のように
最後の一週間で
羽化してみたい
飛べるだろうか
そんなことより
左手と右手の違いについて
考えている
ついでに右目と左目について
も、ちょこっと
やはり
地べたで生きるように
できているね
背中を割ってはえるものは
なにもないから
あなたを地面に埋める
焼いてしまったけど
何年かすれば
今年の蝉がその下から
きっと羽化して
とんだり
ないたりするだろう
蝉のように砕けて
蟻の巣、暗がりの中
運ばれて降りていく
なつかしい
地面の奥へ
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